電通が平日に全社一斉に休暇を取得するインプットホリデーを6月より試験導入すると発表しました。
インプットホリデーの概要
電通が発表したインプットホリデーという制度とは、各社員が保持している有給休暇の権利とは別に、全社一斉で休みを設けるというもの。
毎月一回を予定しており、毎月第二週もしくは第三週の水曜日もしくは金曜日が休みになると発表している。
現時点では6月8日(金)、7月11日(水)、8月8日(水)、9月21日(金)、10月10日(水)、11月9日(金)、12月12日(水)を予定とのこと。
まずは試してみるとのことなので、半年間のお試し期間でどのような状況になるのか見ものです。
懸念されるリモートサービス残業の嵐
この発表を受けて懸念されているのが、リモートワークによる残業の嵐だ。
一日休みだけど結局家で仕事してたというパターンに陥る人が多いのでは?と懸念されている。
電通はそのための対策とも言えるパソコンのログ監視なども取り入れるそうですが、それでも対策は不十分と言われています。
というのも、パソコンの電源オンオフを内部でログ排出されないようにすれば監視をすりぬけるなんてことが当たり前のようにわかっているからです。
そのため、やろうと思えば監視をすりぬけることもできてしまう。というのが監視ソフトの弱点であり、知ってる人からすると抜け道になってるというのです。
そのため、世間の反応としても「制度だけ入れても無理」「翌日仕事できてないと怒るんだろ?」「他の平日が残業の嵐」などネガティブな意見が多いです。
実際に昨年発表された残業時間削減のランキングでも、上位に入っていた会社の実態は残業をつけていないだけ。といった場合もありました。
見た目だけの制度にしないためには
休みをとるためにその他の日の負担が増えていては本末転倒。では、本当に休みをとっても大丈夫な状態にするにはどうしたらいいか?
それは抜本的に無駄な業務を省くことが必要になります。
「その業務いりますか?」「その承認フローいりますか?」というやつです。
特に承認フローというのは会社を守るためにできていますが、適度にしておかないと個々の仕事を増やすだけです。
そのため、結構な無駄な承認フローが組まれていることもあるというのが無駄な業務を省く上でのポイントだそう。
今回の発表を受けて電通が今後どのように進めていくのかはわかりませんが、見た目上の制度として風化しないことを祈っています。
高橋まつりさんの事件から2年。何を学んだのか?
電通という会社は業界のトップをずっと走り続けてきた輝かしい会社だと思います。
しかし、その分スパルタな面や残業して遅くまで仕事する文化は確実に根付いています。高度経済成長期から現在まで、働くのをよしとしてきた会社は多数あり、その文化の変革を求められているのが今の時代です。
そして、上司からのパワハラやセクハラといったものもよくない文化として残っている会社は数多くあります。特に歴史が古ければ古いほど、昔の実績をよしとして悪しき習慣として残っているものがあると思います。
今回の電通の発表は会社として休みを設けるというものでした。やってみなければわかりませんが、本当にそれで根本的な解決になるのかは甚だ不明なぐらい、単純な労働時間以外の問題が表面化していたはずです。
今回の制度でも、上司が休みの前日に「休み明けまでに絶対やっとけ」となったら休日にやらざるをえなくなるでしょう。
また高橋まつりさんのときに相談に行った上司や先輩、人事や総務などの風土は変わったのか?相談にいっても相手にされないままではないのか?
疑問が残ります。
例えば「最近の子は飲まない」という上司がいますが、それも文化が変わったし社会が変わったからです。
昔のように飲んで楽しむ時代ではない。それだけのことです。
また昔の残業に比べて、現在では文明機器の発展によりやることも密度も増えていませんか?
携帯やメールのお陰で24時間365日連絡がとれます。
「メールをすぐ返せ」と指導していませんか?
メールは自分のタイミングで相手に都合を聞くことができるツールです。1日2日返答なかったって文句は言えません。
制度を作ってもそれを実行する社内風土や人が変わらなければ決して変わらないし、同じことを繰り返すでしょう。
この制度を発表した結果は将来出て来るのでしょうが、決して労働時間という数値の減少だけで判断してほしくないと思います。
行き着く先は天国か地獄か?
制度を試しに導入してみる電通の試みは素晴らしいと思います。しかし実態が伴うかどうかの判断はかなり難しいということを肝に命じないといけません。
決して見た目上の数値だけで喜ばず、抜本的な改革「行って欲しいと思います。