
前回に引き続き、黒島沙和の過去の扉です。
普通ではない事を自覚した黒島沙和は一体どのような行動をとったのか?
その結果、何が起こったのか?
という事実が描かれます。
そして、最後に待ち受ける更なる衝撃の事実。
最後の最後まで目が離せない展開になっていますので、要チェックですよ。早速見ていきましょう。
ちなみに前回の扉は以下でお話していますので、まだ前半をご存じない方は以下からご覧ください。
【あなたの番です】扉の向こう 過去の扉 前編ネタバレ!黒島沙和が狂気に目覚めたきっかけとは?
目次
普通ではない事を自覚した黒島沙和と家族
前編の最後に普通ではない事を自覚した黒島沙和。
小さなころから普通ではない事を自覚していた黒島沙和に対して「普通」である事をずっと望んでいた両親。
その「普通」を求められ続けた事が黒島沙和には苦痛だったのです。
そんな自分が普通ではないとわかった事から、普通でいられるようにコントロールする術を実践するようになっていました。
その方法の1つが数学。
数学の難問を解いている時だけは他の一切を考える必要もない事に気づき、答えが出るという数学の特性があっていたと自分で話しています。
しかし、その様子を見た母親は「沙和はやっぱり普通ではないと思う」と夫に悩みを打ち明け、精神病院に連れて行く事を提案しますが、「そんなみっともない事やめろ」と却下されます。
「今は思春期だから成長したら普通になってくれる」と願いにも似た願望を口にしていた事から見ると、かなり世間体を気にする夫婦であった事が伺えます。
結果としてその「普通」を沙和に求めていた事が本人にとっては苦痛であり、後の事件のきっかけを作っているとも知らずに。
内山を助ける黒島沙和が普通ではない事に苦悩
夏休みに入ろうとしているある日の事、いじめられている内山の近くを通りかかります。
「夏休みやけん。制服いらんやろ」
と制服のズボンを脱がされようとしている内山。
そんな内山に黒島沙和は近づき、手を差し伸べ助けます。
その状況に「あの?どうして?」と聞く内山。
「普通の事やないですか?」と返す黒島。
そのまま「じゃあ」と去っていきます。
これが後に二人を繋げるきっかけとなったわけです。
普通ではないと自覚した事によって逆にどうすれば「普通」になれるのかと考えられるようになり、このころの自分には希望を持っていたようです。
その夜、家庭教師の松井先生と部屋で話す黒島沙和。
いじめにあっていた子を助けたという話をすると
「いやいや、普通の事もかもしれないけど、普通はできないよ。俺はできない。」
と松井先生が返します。
この「普通はできない」に対し黒島は疑問を頂き、「やらん方が良かったやろうが?」と悩み始めます。
「普通」という事を目指してきた黒島にとって「普通ではない」というのは大きく悩むポイントになっている黒島。
松井先生は「あんなこと言ったけど、気にする必要ない。沙和ちゃんはいい子だよ。どうしても気になるならお父さんとお母さんに・・・」と言いかけたところで「見捨てんといてください」と返します。
「この家が壊れる気がする」
というのが黒島沙和の言い分でした。
豪雨の中の覚醒
その日はあいにくの豪雨。
お母さんはお父さんが傘に忘れたとの事で傘を届けにいくと部屋に言いに来ました。
松井先生にも雨が落ち着くまでずっといて良いと伝え、去っていきます。
そして勉強を続ける沙和ですが、途中で松井先生を殺す想像を何度もしてしまい唐突に数学をはじめます。
「あれ?なんで数学?」
と松井先生が問いかけますが、沙和の中では妄想が止む事なく繰り返されます。
そこで「少し、休憩しようか」
と言う松井先生、「ちょっとトイレ」と部屋のドアノブに手をかけて部屋を出ようとしますが、沙和がその手を放しません。
そして、「出られないんだけど」という松井先生の言葉に「ごめんなさい」と何度も謝りながら黒島沙和はついに部屋を飛び出してしまいます。
そのまま雨でぬれぼーっと歩いていった先で「どうしたがよ?」と声をかけ出会ったのが、穂香ちゃん。
ちょっとした雑談の後、大雨が止むのを待っていても仕方がないので、
「あそこで休もうか」
と側にある小屋へ一緒に行きます。
小屋の中はどうやら農作業部屋らしく、鎌やのこぎり、縄といったどうぐがたくさん置いてあります。
そして部屋に入った瞬間も穂香ちゃんの首元や腕を見て興奮している沙和。
どうやらこの時点で既に殺人衝動が何度も発生しているようで、小屋に入った後も黒島は壁にかけてあった紙を裏返して計算をはじめます。
その様子を見て穂香ちゃんは
「勝手にお絵かきしちゃだめやない?」
「二人でできることせんかえ?ちょっと貸して」
と沙和からペンと紙をとり、お絵かきをはじめます。
「絵しりとりやるき。はいお姉ちゃんの番」
と再びペンを沙和に返しますが、その時の沙和は既に衝動を抑えられずについに取り込まれてしまいます。
そして、
「もっと楽しい事するき」
と言い、小屋の壁に立てかけてあった鎌や桑手、のこぎりのような刃物を床に次々と投げ捨てた後、メガネを取りながら
「どれで遊ぶ?」
と狂気的な目で穂香ちゃんに問いかけたところで暗転。
そして小屋から出てくる黒島沙和。
服も顔も血だらけのまま雨に濡れていますが、その目には高揚感が溢れ出ております。
それから2年間、私は普通でいる事ができました。とのナレーションが流れ、2年の月日が流れます。
松井先生のご褒美
2年後の黒島沙和は受験生。
模試の結果が良かったらご褒美を上げるという松井先生の約束で松井先生と黒島沙和は海にいました。
欲しいものといっても普通ものだと思っていた松井先生に対して、
「私の欲しいもの松井先生では手に入れられんき」
と言うと断崖絶壁の方まで向かいます。
そこから突然に2年前の豪雨の日の話を松井先生にはじめ、「あの日、私が何しおったか知りたいですか?」と問いますが、松井先生は知りたがりません。
そんな松井先生を意に介さず
「私ね、女の子を殺した」
と言いかけたところで松井先生は「やめろーーーーーー」と声を荒げます。
どうやら松井先生はなんとなく感づいていたらしく、ただ黙っていただけという様子。
そして「信じてたんだよ」と繰り返し訴える松井先生に対して、それを聞いた黒島沙和は
「じゃあ私の普通のふりがうまくいったがや」
と自分の演技を絶賛するというサイコパスな一面を見せます。
「先生、私、2年間がまんして普通の人みたいに生きて来れたのです。先生のお陰です。でも限界です。全然楽しくない。」
と告げ、今日も全然楽しくないと話し続けます。
「私が楽しかったのはあの時だけながです。でも普通の人は楽しくないんですよね。あの子も全然楽しそうじゃなかった。」
と話しながら松井先生の口元を吊り上げ、微笑みを無理やり作ろうとします。
そうやって口元を吊り上げる事でやっと笑ってくれたというのが2年前の穂香ちゃんの時と同じだそうです。
そして、自首を促す松井先生に対して
「一人殺したくらいじゃ死刑にならん」
と言い、松井先生を抱きながら崖下に落ちていきました。
黒島沙和と内山の初対面
目を覚ますとそこは病院。
「また失敗」
と言い狂気にうちぶれる黒島。
すると唐突に「ごめんなさい」の声。
そこには制服姿の内山がいました。
「失礼します。」と病室を出て行こうとする内山を「待って、松井先生は?」と呼び止める黒島沙和。
内山はスマホを取り出し、水難事故の記事を見せます。
結局松井先生だけが亡くなり、黒島沙和は意識不明と報道されていました。
それを見て「運良すぎ」とつぶやく黒島。
すると内山が牡羊座の運勢を見せ、「その日、牡羊座のラッキーデイでした。だからかも」と言い、「生きちょってよかったです」と言います。
「私の事何でもしっちょんよね?」
と黒島が問いただすと、「ごめんなさい」と謝りながら「助けてくれた」と内山は言いますが、
「ごめんね、それ私じゃないき。知りたい?」と内山をおいでおいでと手で招きます。
そして、唐突に首を絞め出す黒島沙和。
完全に覚醒している黒島沙和は、今の自分が本当の自分ということを示すように首を絞める手に力をいれますが、内山は「大丈夫です。」とひたすら耐え続けます。
その言葉に反応して手を放す黒島沙和。
「もし、あなたのせいで死んでしもうても大丈夫です。」
それを聞いた黒島は「惜しいなぁ」と言うと
「でも、命が軽い感じはええと思う。素質あるよ。理想には程遠いけど。」
「どうすればいいでしょうか?」
「まず、笑って。これから私がすることを楽しんでほしいから。ずっと笑顔でちゃんと見ちょってや。本当の私を」
と狂気の笑顔を浮かべます。
この時が本当の黒島沙和と内山の対面。そして笑顔はこの時からのキーワードだったようですね。
翔太と南とどーやんと
「納得できました?黒島沙和がああなったのは狂ってたから。納得できません。」
ここまでの話をして翔太に対して問いただす南。
しかし翔太は
「自分の事を大切に思えなかったからじゃないですか?自分のことを大切に思えなかったら人の事を大切に思えるわけがない。」
「南さんは、少しわかりませんか?南さん、死のうと思ってますよね?荷物をまとめているのは処分する為ですよね?そして誰にも迷惑をかけないところでひっそりと死のうとしてませんか?」
と南を逆に問いただします。
そんな翔太を見て一瞬びっくりする南ですが、
「なんでしたけ?あれ?ブルですよブル」と笑いながら答える南。
本当に死のうとしていたみたいです。
「今更、売れない芸人続けても何にもなんないでしょう。一番笑顔にしたい相手はいないんだから。」
それに対して「大切な人はいなくなってもいます。俺たち二人とも大切な誰かのためにここまで生きてきた。それって大切な誰かに生かされてきたということじゃないんですか」と訴える翔太。
「やめてくれよ。死んだら会えると思っていたのにさぁ」
「俺たちはこれからも大切な誰かの為に全力で生きましょうよ」
というやりとりで翔太と南は新たな決意をしたのでした。
その頃、二階堂はAIで分析した結果を削除しようとして何度も「Delete」を押そうとしますが、削除ができないで苦悩を抱えていました。
そこにチャイムの音。
ドアの前には翔太がおり、「どーやんさ、AI奈菜ちゃん消してくれないかな」と頼みにきたのです。
しかしどーやんは「できません。消せないです。何であんなに愛した人すぐに消せるんですか?僕は消せません。あんなことした人なのに、今すぐにでも消すべきなのに消せないんです。」
どうやら初めて愛した人だった黒島沙和という人間が、どれだけ悪い人でも忘れられないようです。
「俺はさ、AI奈菜ちゃんを消したいだけだよ。奈菜ちゃんは消えないよ。消えないからさ、愛なんだよ。」
「何ですか?それ」
「じゃぁ、消しません。AI奈菜さんも消しません。いや、貴重なデータなんで、修士論文に出すつもりなんで。むしろもっと使って研究に貢献してください。」
と元のどーやんに戻り、どうやら自分の中でケリを付けたようです。
そして最後は
「いただきまーす。奈菜ちゃんポーク南蛮うまいよ。」
ここに来てポーク南蛮を回収に来るという嬉しいサプライズでしめてくれました。
黒島沙和からのメッセージ
獄中の沙和の語りで話された過去はここで終わり、最後に沙和からのメッセージが誰かにあてられます。
「これが、今まで私がやってきたこと。」
「私が歩んできた道のりです。」
「人とは違う事に苦しんだと思います。これからも、苦しみ続けると思います。」
「でも、これだけはわかってほしい。あなたは一人じゃない。」
「私は私の生きたいように生きました。あなたもあなたの生きたいように生きていい。」
「やりたいことをやりたいようにやっていい。」
「次はあなたの番です。」
沙和からのメッセージはここで閉じられていました。
そしてそのメッセージは今までの過去の話とともに手紙となっており、ある人物に渡されたものでした。
その相手というのが榎本総一。
以前に沙和からもらったという本「宮沢賢治全集」の最後に手紙として挟まっていたのがこれまでの話だったのです。
黒島沙和は榎本総一を自分と同じ人種だと気づいており、その手紙に想いを託していたのです。
この手紙を読んだ総一がどんな行動にうつすのかはわかりませんが、本編の最後で赤池幸子を陥れたのは総一の可能性も深まりましたね。
まとめ
黒島沙和は昔から自分が異常だという事を気づいてからも苦悩を抱えていましたが、結局は自分の好きなように生きた結果だったという事のようですね。
そして、その好きなように生きる事を榎本総一にも伝えるということをしっかりとやっていました。
あなたの番です。
という言葉とともに、新たな事件の前触れとも言える終わり方でしたが、ひとまずはこれで物語が終わるようです。
続編を期待したいところですが、更なる続報を楽しみにしていきたいですね。